誰でも権力を持っている!本書で正しい使い方を学ぼう!
どうもどうもこんにちは。
今日の本は、『スタンフォードの権力のレッスン』
デボラ・グルーンフェルド 著
御立英史 訳
です!
どんな本か?
著者はスタンフォード大学経営大学院社会心理学教授で、集団と権力についてのコースで25年以上指導している女性です。
その経験から「権力の性質」や「権力の正しい使い方」をまとめたのが本書です。
権力と聞くと、争いごとや汚いことをしてるイメージが沸きますが、本書はそのようなことをすすめる本ではありません。誰も傷つけず、必要な時に必要な権力の使い方が書かれています。
本書を読めば、「人を幸せにする権力」について知ることができ、「自分でもそんな権力を手に入れられる」と思えるでしょう。
どんな人におすすめか?
本書は
1.権力とは何かを知りたい人 2.権力の正しい使い方を知りたい人 3.不安に打ち勝つ方法を知りたい人 |
におすすめです!
1.権力とは何かを知りたい人
「そもそも権力って何だろう?」
こう思う人は多いのではないでしょうか。
なんか「えらい人が持ってるもの」とか「自分には無関係なもの」とかそんなイメージがあると思います。
じゃあ権力が自分の手に入るとしたら、どう思うでしょうか?
「別にそんな権力なんていらないよ」
「絶対に権力者になってやる!」
とかいろいろな考え方の人がいるでしょう。
実は、権力が欲しい人も欲しくない人も、両方権力を持っています。
どんな人でも、大小はありますが、権力を持っているのです。なぜなら、権力とはどんな関係や役割の中にも存在するからです。
親子関係なら、親は子を保護する立場で権力を持ちますが、子は親を尊敬するかしないか判断できる権力を持っています。
著者はどんな人でも権力について競い合っているといいます。
少し注意して観察すれば、いたるところに権力をめぐる競争があることがわかる。ありふれたおしゃべり―ニュースについて、子どもの門限を何時にするか、デートの夕食はどこのレストランにするか―をしているときでさえ、知識が豊富なのはだれか、顔が広いのはだれか、だれの利益が大切か、決めるのはだれか、道徳的に正しいのはだれか、ルールを決めるのはだれか、といったことをめぐって、私たちは密かに火花を散らしているのである。
人と人が関われば、どんなにささいなことでも、そこに権力関係が生まれます。生きる限り、誰も権力と無関係にはいられないのです。
では、誰にでも関係がある「権力」とは、どうやって決まるのか。
本書では、それは他者がどれくらいあなたを必要としているかの程度で決まる、と書かれています。
あなたが会社の社長だとして、従業員はあなたから与えられる報酬をどれだけ必要としているか。それによってどれだけあなたを喜ばせようとするか、あなたがそれをコントロールできるかが決まります。
逆に従業員の立場なら、あなたの能力や会社にどれだけ貢献しているか、どれだけ社長から必要とされているかによって、権力の程度が決まってきます。
つまり、権力とは他者の行動をコントロールする能力のことです。
そして、だいたいの人は権力について誤解をしていると言います。
誤解について、本書の中でいくつか書かれているうちのひとつに、「権力は「何のため」にあるのか?」という項目があります。
その項目では、権力とは個人の成功や満足感のためにあるのではなく、集団の問題を解決するためにあると書かれています。
集団のためということは、他者のためということ。
著者はそのことを「与益原則で動け」と言います。
与益原則とは「大きな権力を持つ役割の人は、力のない人びとの福祉を優先する義務がある」とする、応用倫理学の原則だそうです。
ビジネスの場では、従業員と顧客に配慮しながら利益を確保するために力を使うことを意味します。
権力は他人のためにある。と聞いて意外な気もしますが、よく考えてみるとたしかにそうかもなーと思います。
社長は、会社でトラブルがあった時、すべての責任を引き受けるリスクをとっているわけですし、相応のプレッシャーの中で従業員のために利益を生む必要がある。
責任の重さの分だけ、他人のために動いていることになります。
権力は、他者をコントロールできる能力を手に入れることができるかわりに、その分重い責任を引き受けることになるものなんですね。
逆を言えば、他人のために責任を負って動いていけば、権力を手に入れられるということでしょうか。
本書では権力の性質について、ほかにもいろいろな項目がありますので、気になる人は是非!
2.権力の正しい使い方を知りたい人
権力の使い方は、与益原則で人のための動くというのが、一番正しいです。
本書ではもうひとつ、一貫して書かれていることがあります。
それは「演技をする」ということ。
集団の中にいると、人には必ず役割ができてきます。
その役割に適したキャラクターを演じることが大切だということです。
著者は「演技をする」ことの有効性を、ビジネススクールの教員のスキルを向上させるためのプログラムに参加した時のことを例に出して説明しています。
プラグラムの講師は、「クラスルームは、教授のみなさんが、教師という役割を演じている劇場のようなもの」と言いました。
そのことを意識して、それぞれの教授がその場で行った3分間の講義を聞いたら、著者はその通りだと思ったそうです。
ふだんは無口な人が講義ではスタンダップコメディを披露し、気さくな同僚は教壇では厳しさが加わり、少し怖いほどだったと言っています。
講義を行うのに適したキャラクターを、全員が無意識のうちに演じていたのです。
そして、普段の自分を捨て、選んだキャラクターになりきった人ほど、講義に魅力や真実味があったのです。
著者は言います。
成功している俳優は、不安につぶされて役を演じられなくなるということはない。私たちも、仕事をやり遂げ、なりたい自分になり、力を効果的に使うためには、自分を縛る思いから離れて、自分の役を演じる方法を学ばなければならない。
演じることでパワフルになり、より役割をまっとうできるようになるということですね。
俳優でない私たちでも、演じることが必要なのです。
そして、演じるためには、自分の役割を理解することが必要です。
たとえその役割が「歓迎されないアドバイスをする」ことだったとしても、チームがあなたにそれを望むのであれば、それを受け入れなければなりません。
自分をチームの一員として見た時、チームに貢献できる役割がどんなものであっても、その役割を受け入れ演じていくことが大切です。
チームがあなたに何を望むのか、どういう立場で見ているのか、それを自分で見つけ、演じていくのです。
「与益原則」と「演じる」を両方組み合わせて、チームや会社のために役割をまっとうすることができれば、権力をうまく使えます。
本書では、より細かく「権力の使い方」について書いてあります。
3.不安に打ち勝つ方法を知りたい人
実際に自分に与えられた役割を演じるとして、うまくできるか不安になる時があると思います。
本書にはそんな不安に打ち勝つ方法が書かれています。
その方法のひとつに、「ドラゴンの母になりきる」というものがあります。
ドラゴンは想像上の生物ですが、普通の人間よりも大きい力を持っていると、誰もがわかっている存在ですね。
ドラゴンの母ということは、どんなことがあってもドラゴンが守ってくれる、という安心感が常にある状態で、いつでもリラックスして、いいパフォーマンスをできるということです。
ドラゴンは著者の感覚で選んだ言葉ですが、普通の人間よりも強い存在ならなんでも使えると思います。
つまり、役割を演じる上で必要な、普段とは別の強い自分を心の中につくりだせばいいのです。
著者は実際に「ドラゴンの母」になりきったことによって、裁判で自分が攻撃された時に、毅然とした態度で応じることができたそうです。
強い自分を作るにあたり、著者は「ゲーム・オブ・スローンズ」というファンタジードラマを見て、ドラゴンの母になることを選びました。
そのドラマの中でドラゴンの母になったキャラクターに共感し、自分と重ね合わせたのです。
強い自分を作るには、自分の好きなモデルを選び、「あのモデルならこういう時どうするか?」と生活のあらゆる場面で想像し、モデルのリアリティーを感じていくことが重要です。
時間をかけて想像し、リアリティーを感じるようになれば、強い自分をなり、不安に打ち勝つことができるのです。
閃きを得る
いい本でした。
権力というものをぼんやりとしか理解していなかったのが、はっきり「他者をコントロールする能力」と言葉で説明できるようになりました。
そして、ちっぽけな自分でも権力を持っているのかと知りました。
私の権力はまだまだ小さいですが、この与えられた権力を、できるだけ社会のために使えたらと思います。
権力を絵で表すとすると、やっぱり王冠かなと思います。
そして権力は誰でも持っている。それは一般的な若者でも。そしてあなたにも。
また権力は、その性質からさまざまな誘惑があります。
人を誘惑するものといえば、蛇です。
ということで描きました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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